王様の耳はロバの耳 基地外マザーズ 第55話 「K谷動く!」
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基地外マザーズ 第55話 「K谷動く!」
2007 / 05 / 27 ( Sun )
俺はなぜかナオヤの家の前に来ていた。
たぶん遊びに来たのだと思う。
そして、Kと遭遇する。
俺「あ、どうも、こんにちわ」
だが久しぶりに会うKは、なぜかぎこちなかった。
何を言おうかしばらく考え、そして口を開いた。
K「な、何かやってるの?」
おそらく文句を言いたくて仕方なかったんだろうが、証拠もないし、なにより自分が幼稚園の先生であることが、言葉を和らげた。
俺「え?勉強のこと?何も(特別なことは)やってないよ。」
俺はナオヤたちと同じ事を聞くKから判断して、ナオヤたちが本当のことを話してないな、と思った。
俺「あ、そうだ!先生、ナオヤ君たち悪いんだよ!いっつも勉強してこないんだよ!それで100点取れないくせに、ブーブー文句ばっかり言うんだよ!ホントは全部こいつらが悪いんだよ!」
そういうとKは、グッと泣くのを堪えたような表情をして、ボソッと呟いた。
K「もう勉強しないで…」
俺「え?」
俺には信じられない言葉だった。
仮にも幼稚園で先生である人が、いくらナオヤの母親とはいえ、そんな自分勝手なことをいうとは思えなかったのだ。
普通ならナオヤを叱り付けて、必死に勉強させて追いつかせようとするのではなかろうか?学校のルールを守らせようとするのではなかろうか?
さすがに言いにくいことをいったからであろう、良心の呵責に耐え切れない様子で、ナオヤたちを引きつれ俺から離れていってしまった。
歩きながら、ナオヤたちに何か言っているみたいだったが、それはわからなかった。
俺はひとりでその場に取り残されていた。その後またナオヤたちと遊んだのか、それとも帰ったのかは憶えていない…

次の日
ナオヤ「COCO君、やっぱりもう勉強しないで、お母さん達迷惑だって言ってるから…」
俺「そんなわけないじゃん!俺が勉強すれば喜ぶはずだよ。恩返ししてるんだから。」
ナオヤ「別にお母さん喜ばないよ…迷惑だから…」
正論と本音の対決である。結論など出ず、平行線で終わった。
しかしこれがナオヤたちに(俺がKへの恩返しに勉強を頑張っているいるのではないか?)という勘違いを生じさせたのだった。

放課後、Iの家の近くを通るとKが待ち構えていた。
そして小走りに俺の前に駆け寄り言い放った。
K「ちょっとあんた!誰があんたに勉強してって頼んだ!?」
K「別にあたしはあんたになんか勉強して欲しいなんていってないわよ!」
言い終わるが良心の呵責に耐えるK。本来ならこんなセリフ吐くわけにはいかないのだ。このストレスが俺への恨みへと転化する。
K「なんで…、なんであたしがこんなこといわなくちゃならないのよ…」少し涙目のK。
K「みんな、みんなあんたが悪いのよ!」
昨日からの一連の出来事で、俺にとって、もはやKは先生と呼べるような存在ではないことは明白だった。
俺「うん、(別にあなたに勉強しろなんて)いわれてないよ。」
冷静に答える俺。
K「じゃあ、なんで勉強すんのよ!」
俺「別に…、しなきゃいけないからしてるだけだよ。」
K「そんな、そんな勉強しないでよ!」
K「あんたなんかそんなに勉強しなくたっていいのよ!」
言い終わると泣き出した。先生という立場と母親という立場のジレンマに耐え切れないのだ。
俺は驚きと呆れた気分に晒されながら
俺「なんで?なんで先生がそんなこというの?」と冷静に聞き返した。
俺「悪いのは全部ナオヤ君たちなんだよ?昨日いったでしょ?なんで幼稚園の先生なんてひとがそんなこというの?どうしてナオヤ君を怒らないの?あいつが勉強しないのが悪いんだよ?あいつが勉強すればいいだけなんだよ?どうしてあいつに勉強させないの?先生、ナオヤ君のお母さんなんだから、ナオヤ君に勉強させればいいだけじゃん!なんでしないの?」
正論を吐く俺。
そんなことはとうの昔にやっているのだ。それだけに反論すらできない。
俺ごときに正論を吐かれ、反論もできない今の自分の惨めさがKのジレンマをさらに加速させた。
K「どうして、どうしてあたしがこんなこといわれなくちゃいけないのよ?」
顔を抑え泣きながら訴える。
K「みんな、みんなあんたのせいよ!」
そしてまた泣き出す。

すると、堪りかねたのか、ついに向かいのおばちゃんが出てきた。
お「ちょっとあんた!いいいかげんにしなさいよ!」
このおばちゃん、Iの商店と道を挟んで向かい側にある商店のおばちゃんなのだ。
たぶん50歳代で、見た感じからしてKたちとは仲が悪そうだった。
お「あんたたちのこと、(この辺のひとたち)みんな噂で知ってるのよ!」
お「黙って聞いてたけど、みんなあんたたちが悪いんじゃない!」
K「ヒッ!ヒ〜〜!」
突然の大人の介入に驚いたKはそのままIの家に引き上げてしまった。

こうして俺はなんとかKから開放されたのだった。
だが、これはほんの始まりにすぎなかった。

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

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